ことのは採集

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宗教は定義できない

こんにちは、真音とろっぽです。

宗教学の授業で、今度「宗教とは何か?」というテーマを取り上げるのですが、これはなかなか難しい問いです。というのは、いろんな作業を要求する問題だからです。

  • 「宗教とは何でないか?」の確定
  • 「宗教とは何であるか?」の列挙
  • 「宗教とはズバリ何か?」の解決
  • 「宗教とは何としておくか?」の仮説

それぞれを詳しく解説すると授業になっちゃうのでしませんが、3番目の「ズバリ何か?」について簡単に紹介します。

 

何と言ってもこういうことは、辞書に尋ねるのが一番です。と言っても、広辞苑じゃダメですよ。専門的なことは、国語辞典ではなく専門的な事典で調べましょう。

次の東京大学出版会の『宗教学辞典』(1973年)の項目「宗教」は、さすがに最重要語だけあって、9ページも割いて細かい字で論じています。

宗教学辞典

宗教学辞典

 

最初の方で次のように前置きして……

宗教の定義は宗教学者の数ほどある,と言われる〔256頁〕.

後は主知的・主情的・主意的定義、価値や態度による定義、社会性からの定義、聖と俗による定義、構造や機能に着目した定義……と様々な定義を並べています。

ただ、宗教の定義はあくまで最初の作業仮設。うまい具合に宗教現象を解明できればそれで良い、という面があります。

 

私の考えでは、「宗教」という言葉に、誰もが満足する1つの定義を与えることは不可能です。でも、それだけで終わるのではなく、とりあえずの方向性くらい示さないと宗教学の名折れでもあるので、私の授業でも作業仮説として一応の定義を与えることにしています。

 

ちなみに、丸善出版の『宗教学事典』(2010年)の項目「宗教」は、上記書とはまた違った切り口で、現代において「宗教」概念のもつ意味を解説しています。

宗教学事典

宗教学事典